クスクス草分け物語 1
クスクス草分け物語

フランスに勉強に出かける学生、料理人の多くは、あまり金持ちではない。ほとんど自炊(フランスの食料品は日本に比べるとものすごく安い)か、手軽に外食と思えば安い中華か、ビストロもしくはアラブ料理が安くて旨い。
最初は、アラブ料理店に行ってクスクスを注文、食べて?ッと思うけど、安くて、旨い。2度3度食べるとハマる。かくして日本人の間にもクスクスは浸透していく。日本で1番最初にクスクスをレストランで出した料理人は、パリで修業した田中氏(パレスホテル大阪出身)で1970年代後半、池袋でクスクスと言う名の店で一品料理として出したのが最初。

この当時は、クスクスの粒(スムールとフランスでは呼ぶ)が小麦粉の輸入制限のため輸入禁止品、しかも、在仏経験者も少なく、どれほどの注目を集めたかは不明、彼は1980年頃カナダに転出したとか噂を聞いたが、現在消息不明。
1980年、14年のフランス滞在を終え帰国した私は、渋谷にあった「ヴァンセーヌ」の料理長として日本の仕事を始めた。この当時、フランス帰りのシェフ達が開いたレストランが折からの好景気と、ヌーヴェル・キュイジンヌの隆盛と共にブームになりフランス料理が一般の人々に初めて身近になってきた時でもあった。 が若きシェフ達がフランスで求め勉強してきた料理は、フランスの最高峰、3星レストランの料理。
3星レストランとは、ミッシュランガイドが定める格付けで、フランスの最高峰の超高級レストラン。一般庶民は足を踏み入れない、否テーブルを囲むチャンスは一生に1度あるか、ないかのレストランの料理。

フランス料理の幅は実に広い。郷土料理、古典料理、お袋の味、庶民の味、外国からフランスに入って、フランス料理になってしまった料理、等々。最高の料理はもちろんいいが、一般の人が一番多く求めているフランスの料理例えばシュウクルート(キャベツ料理)ブーダン(ブラッド・ソーセージ)パテ、リエット肩の凝らない料理。その中にフランス化されている「クスクス」も有った。