FIVE STARS CLUB
FIVE STARS CLUB No20 WINTER 1/3

フランス料理の本当の“豊かさ”を分かってもらえる時が来ました。
フランス料理店「ビストロ・パラザ」
料理長  酒井一之

フランス料理店が形作るピラミッドが本来の形に…
いま、景気の状態があまり良くないからフランス料理のレストランに来るお客様が減っているといわれますね。 確かにそうした面は否めないとは思うのですが、しかし実際のところ、外食産業自体の規模はどんどん大きくなっているのが事実でしょう? その点から考えると必ずしも悲観的なことばかりではないわけです。結局、いかにして増えてきたパイの一部分をフランス料理に向かわせるかが大切なのであって、 いろんなことをすべて経済的な状況に結びつけることはしたくないですね、少なくとも個々のお店のレベルでは…。

お客様を魅きつける努力が実を結ぶかどうかとの点から考えると、今の日本のフランス料理界は、以前に比べると格段にいい状況にあるのではないか、と感じています。 十数年前までは、フランス料理というと、フランス本国と比べても最高級の部類に属する料理だけを出すもの、というのが実態でした。実際がどうだったのかはともかく、 そう考える日本人が多かったはずです。だからフランス料理は取っつきにくい、高い、本当に特別の機会にしか食べに行かない、そんな位置づけになってしまっていたわけです。

しかし、それは本来あるべき姿ではないですよね。中国料理だろうと、日本料理だろうと、そしてもちろんフランス料理も、 底辺があってはじめて頂点が成り立つピラミッド型の世界であるはずです。ちょうど私が日本に帰ってきた80年代のはじめ頃から、 私も含めた若手のコックがそういうことを意識しはじめたわけです。フランスの、いわゆる庶民の味だって美味しいじゃないか、 そういう味をフランス料理として日本人にも食べてもらいたい、知ってほしい、そんな気持ちから、少しずつフランスの「普通の料理」をメニューに加えはじめたんですね。




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