フランス料理人 シェフ酒井一之の公式サイト
酒井一之 豚料理大全 人気シェフのスパイス術

シェフ酒井一之のおいしい総菜』では、シェフの料理の数々をお求めやすく提供いたしております。

フランス料理は楽しい ー地方・名物料理ツアーてんまつ記ー
menu
フランス料理は楽しい

ー地方・名物料理ツアーてんまつ記ー

古典的なフランス料理には、料理名に土地の名を冠したものが多い。「ノルマンディー風」「ルーアン風」「マルセイユ風」「カーン風」・・・・・いくらでもある。 「カーン風」とくれば、ウシの胃袋料理”トリップ”である。「ノルマンディー風」は、生クリームを使ったソースと相場が決まっている。また、 「ルーアン風」なら、血を使ったソースが特徴のカモ料理。これは、食べたカモの通し番号をくれることで有名な、パリの「トゥール・ダルジャン」のカモ料理の地方版と思えばいい。 それから、ジャガイモのパリジェンヌ、ニンジンのヴィシィーニ風、ニース風さらか、トゥルーズ風ソーセージ・・・・・いくらでもある。

フランスに住んでいた頃の話ー。土地の名が付いているので、その土地の名物料理か伝統的な地方料理に相違いないと思い、それらを本場で食べようと、 けっこう、あちこち食べ歩いたもんである。生クリームソースの中にカキがはいっている「舌ビラメのカンカル風」という料理が、その頃働いていたホテルでよく出されていた。 で、「”本場”で食ってやれ」と、出かけた。しかし、わざわざパリからそこだけに行くのもモッタイナイと考え、ついでに、カーン、ナント、ヴィシィー、リヨン、 マルセイユー料理名でおぼえた都市をぐるっと回ってやろうと、計画はふくらんでいく。

まず、ノルマンディーとブルターニュの境界に近い小さな町、カーンに着いた。ところが、レストランはたくさんあるが、名物のはずの胃袋料理がないのだ。 数軒回って、ようやく見つけた。が、本場のはずの「カーン風スリップ」は、リンゴから作ったカルヴァトス酒で煮込んであるものの、 パリで食べたものとあまりかわりばえしなかった。

次のカンカルの町は、ブルターニュ半島のつけ根にあるちいさな漁村で、主にカキの養殖を行っている。日本の漁村なら、気のきいた料理屋など一軒もないのはざらだが、 フランスのいいところは、こんな小さな漁村でも、必ず、うまいものを食べさせるレストランやビストロがあることだ。港で、いちばんうまそうな感じのするレストランに入る。 メニューを広げると、土地産のカキ、魚のスープなど、目の前の海からあがる魚介類の料理は豊富だが、お目当ての「舌ビラメのカンカル風」がない・・・。 ギャルソンに聞くと、「スープも魚料理も、すべてカンカル風だから、それを食べろ。」

翌日は南に向かい、鉱泉水と温泉とカジノがあるほようちヴィシィーをめざす。もちろん、料理書に、ニンジンの輪切りをヴィシィー産の鉱泉水で煮ると書いている、 「カロット・ヴィシィー」を食べるためだ。

しかし、町中のレストランを探しても、かの「キャロット・ヴィシィー」はない・・・。保養地だけあって、ダイエット・レストランがあるのだが、そこで聞いてもなかった。 フランス第二の都市、リヨンに向かう。リヨンと言えば、ジャガイモ料理だ。料理書に、ジャガイモとタマネギを炒めたものと書かれている「ポム・リヨネーズ」と、 胃袋料理の「グラ・ドゥーブル」を食べるつもりで探したが、またしても、見つからない!

町が大き過ぎてみつからまいのかもしれないと思ったが、入ったレストランで出てきたジャガイモのグラタンを、ギャルソンは「リヨン風」と言う。 要するに、タマネギとジャガイモがリヨンの昔の特産物だったので、これらを使っていれば、なんでもリヨン風といってしまうらしい。

地名を冠した名物料理には、土着の料理で根づいたものと、もう一つ(これがけっこう多いことを、実感したわけだが)、料理人がある料理を創作した時、 材料が、ある土地の名産・特産だと、その地名を料理名にくっつけたものがあるということだ。

おまけに、ややこしいのは、イメージでつけたり、理由が定かでない料理名もある。たとえば、「ソース・アルモン」は、ドイツ風ソースだが、 ドイツとは無関係のホワイトソースだ。オランダ風ソースしかり、ソース・ジャポネーズも同様、本国とは無関係。オマールエビの「ソース・アメリカン」も、 アメリカ産ではなく、考案した料理人がアメリカに居た時に考えたから、そう付けられた。しかし、最近では、こうした土地名の着いた料理は、姿を消しつつあるようだ。

当エッセイは日清社の「フーディアム誌」に連載された「酒井一之の〈おしゃべり ア・ラ・カルト〉」を転記したものです。よって版権は日清社が保有するものです。








-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

シェフ酒井 - たべたべ会 - ヴァンセーヌ
シェフ酒井のフランス惣菜 - シェフズ倶楽部 - co-beau, inc. - リンク

copyright 1994 - 2017 (c) co-beau, inc. All rights reserved

このページに関するご意見、ご要望、ご感想は まで宜しくお願い致します。
シェフ酒井一之へ直接メールをなさる際は へどうぞ。多忙の為返事が出来ない事がありますご了承下さい。

ヴァンセーヌ、パラザ及び酒井一之に関するページにおける著作権及び肖像権のすべてを(有)ヴァンセーヌ・サーヴィス が保有し、一切の無断転載・複製を禁止します。

リンクはどうぞご自由にお張り下さい。


<< site powered by co-beau, inc.>>